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【コラム5】マイホームがある場合の債務整理

自己破産は借金もなくなる代わりにマイホームも失う

「さまざまな理由で多重債務に陥ってしまった場合、借金を減額する手段として考えられるのが『債務整理』です。

「借金は減らしたいけど、今ある自動車やマイホームは手放したくない」 そう思う方は少なくないはず。債務整理は借金を減らすのに有効な手続きではありますが、例えば、債務整理のなかの「自己破産」には、借金がすべてなくなるというメリットがある反面、マイホームや車などの財産も失ってしまうというデメリットもあるのです。

では、マイホームを手放すことなく、借金を減額するためにはどのような債務整理がよいのかを見ていきましょう。まずは、自己破産について簡単に説明しておきます。

●自己破産とは・・・

自己破産とは、破産の免責決定を裁判所から受理された時点で、自分の財産を失う代わりに、すべての借金が免除されることを言います。

*自己破産で制限されること*
最低限の生活必需品を除いた全財産は換価され、債権者に平等に分けられます。もちろんマイホームは破産管財人によって任意売却されるか競売にかけられることになります。

尚、自己破産には「同時破産廃止」と「破産管財事件(異時破産)」の2つの手続きがあります。詳しい説明はここでは省きますが、マイホームなどの財産がある場合は、上記の通り破産管財人による破産管財事件手続きを取ることとなり、処分する財産が一切ない場合は同時破産廃止手続きを行います。

借金の額や返済能力などにもより違う債務整理の方法

では、次に自己破産以外の債務整理についてご説明しておきます。 債務整理には、「自己破産」「任意整理」「特定調停」「民事再生」の4種類があります。それぞれにメリット・デメリットはありますが、マイホームを手放さなくてすむ債務整理としては、自己破産以外の3種類が該当します。

ただし、借金の額や返済能力、家族に内緒の借金なのかどうかにもより最適な手続きは違います。以下はそれぞれの特徴と違いです。

●任意整理

利息制限法で定められている上限を超えた高金利で消費者金融から借りていた場合、 上限金利内(15~20%)に引き下げて再計算し、返済し過ぎていた金利分(過払い金)を元金に充て、3年未満で分割返済していく方法です。

  • 一部の借金のみを整理することが可能。(住宅ローン以外の借金を選んで減額できる)
  • マイホームや自動車などの財産を処分する必要がない。

基本的に、任意整理は元金全額を支払う手続きです。
上限金利内で借りている場合は減額されないため、のちの返済額が自己破産や民事再生よりも多くなる場合もあります。

●特定調停
  • 特定調停も任意整理と同様に一部の借金のみを整理することが可能。
  • マイホームや自動車などの財産を処分する必要がない。

任意整理と似ていますが、引き直し再計算で支払い過ぎていたお金(過払い金)を踏まえて返済計画を立てることができません。
過払い金が発生していた場合、過払い金返還請求を別途申請行わなければなりません。

●民事再生

裁判所に申し立てることで、住宅ローンを除いた多重債務を圧縮し、最低弁済額として大幅に減額させ、再生計画に沿って分割返済をしていく方法。
この借金に将来利息はつきません。

  • 住宅ローンは減額できないが、それ以外の借金は最低弁済基準額に基づき減額される。
  • 破産をしなくても生活を立て直すことができるため、所有している車やマイホームを手放すことなく、債務整理を行うことが出来る。
  • 減額された借金は原則3年間で返済していく形となる。
    (特別の事情がある場合には、5年まで延長することが可能)

住宅ローンの返済にも困難な場合

3つの債務整理であれば、借金を減額しつつマイホームは手放さずにすみます。ただし、住宅ローンの返済も困難な状態にあるのであれば、民事再生が適しているといえるでしょう。それは、任意整理も特定調停も貸金業者などからの借金が対象であり、住宅ローンは対象外だからです。

実は、民事再生には「住宅ローン特則(住宅資金特別条項)」という制度があります。この制度を利用することで、住宅ローンの返済ができずに、泣く泣くマイホームを手放さなければならないという最悪の事態を避けることができます。

だからといって、この制度を利用すれば住宅ローンの返済を免れるというものではありません。契約したローンの借入額が減額されるわけではなく、あくまでも住宅ローンの支払い方法を変更することで、マイホームを手放すことなく、月々の返済額を減らすことができる制度です。

大切なマイホームが競売にかけられるのを防ぐ住宅ローン特則

通常、住宅ローンの支払いが滞ってしまうと、融資を受けた金融機関は債務者であるみなさんに一括請求することができます。もし一括で残額返済ができない場合、債権者である金融機関は、抵当権に基づきその不動産を競売にかけ、債権を回収しようとします。結果、マイホームを失ってしまうこととなります。

しかし、民事再生の申し立てをする際、「住宅ローン特則」の利用を認められると、抵当権の実行を回避することができるのです。

ちなみに、「個人再生」「個人民事再生」という言葉を耳にすることがあると思いますが、どちらも内容は民事再生と同じです。また、民事再生には「小規模個人再生」と「給与所得等再生」の2つの方法があり、どちらも住宅ローン特則を利用できます。

尚、住宅ローン特則には以下のような4種類があります。

1.期限の利益回復型

住宅ローンの支払いに滞納があった場合、回数が契約時に定めた回数を超えると、期限の利益を喪失し、一括請求されてしまいます。そこで、通常の返済はそのまま続けながら、遅れてしまっている返済分について、あらたに期間を定めて分割していく方法です。

2.弁済期間延長型(リスケジュール型)

住宅ローンの返済期間そのものを延ばすことで、毎月の返済額を少なくしていく方法で、支払い期限の延長は10年以内、70歳まで延長することができます。

3.元本猶予期間併用型

弁済期間延長型を利用しても返済が困難な場合、住宅ローンの支払い期間の延長と併せて、他の借金を返済している期間は、住宅ローンの返済額を少なくしてもらうことができる。

4.同意型

上記3つの方法でも住宅ローンの返済が困難な場合、債権者となる金融機関の同意があれば、上記の支払い方法をさらに変更、アレンジすることができる。

民事再生、住宅ローン特則を受けるには

それでは最後に、民事再生を行うための条件と住宅ローン特則が利用できる条件をまとめておきますので、ご自身が該当するかどうかをご確認ください。ただし、ケースによっては民事再生をできない場合もありますので、詳しくは無料相談をご利用ください。

●民事再生を行うための条件

(1)借金総額が住宅ローンを除く5,000万円以下の方
(2)安定した収入がある方
(3)将来的に返済困難になるおそれがある方

●住宅ローン特則が利用できる条件

(1)住宅ローン以外の抵当権が設定されていないこと。
(2)代位弁済が行われた場合は、6ヶ月以内に申し立てを行うこと。
(3)住宅ローンを滞納し、保障会社が代位弁済を始めてから6ヶ月経過していないこと。
(4)床面積の1/2以上が住居用であること。